Fallout作品はオフラインのゲームとして今までリリースされてきましたが、新しい試みとしてオフラインのストーリーを協力してプレイできるのではなく、Fallout76は完全にオンラインゲームになっています。
オンラインになった事で変更されている部分や、オンラインなのでサーバーからの影響を受けるなど今までとは違った部分が少なくありません。
また発売されてからの評判は決して良いものでは無いですが、具体的にどこが不評なのか、また楽しい部分はあるのかなどについてプレイして感じた感想などを紹介していきます。
ストーリー・世界観
今作でも今まで同様に核戦争後の荒廃した世界を舞台にしていますが、Fallout76の舞台はFallout作品の中で最も歴史の若い時代が舞台になっていて、核戦争後が終わって25年後のアパラチアを旅してくことになります。
Fallout4の舞台が核戦争から200年経っていたのでこれを比べると時代の違いがよく分かると思います。
ただし200年後の世界と25年後の世界では大きく違うかと言われればそうでもなく、基本的にどの場所も破壊され荒廃した世界に変わりはありません。
なので良い意味でも悪い意味でも探索していると今まで同様に荒廃した世界観を味わいながら探索を行うことは可能となっています。
若干の違いとしてはFallout76では他の作品よりは緑が多く残っているので、あれた地面や枯れた木しかなかったFalloutシリーズに比べると荒んだ心を癒やすことは出来ます。
生きた人間は存在しない
今作には生きた人間のNPCが全くいないという点は以前までのシリーズとは大きく異なります。
今までのFalloutでは核戦争で人口は減っていますが、ジャンク品を集めて村や街を作って生活している人間のNPCと出会うことが出来、一癖も二癖もある人物から依頼を受けてクエストを行っていくという流れでした。
今作では人間のNPCがいないということで、クエストを受けるのはホロテープからの音声に従うか、同じ見た目ばかりのロボットNPCから依頼を受ける形になるので味気なさがどうしても感じられてしまいます。
生きた人間がいないと分かっていると「〇〇の足跡をたどれ」というクエストがあってもきっと死んでいるかホロテープが残っているだけなのだろうなと考えてしまいます。
そういう意味でもストーリーの展開を制限してしまっていて、ロボットやホロテープからストーリーを辿るのか、人間のNPCからクエストを受けるのかで意外に大きな違いが生まれてしまっています。
ストーリーは薄め
Falloutにはストーリーはしっかりとありますが、わかりやすく説明されているわけではなく落ちているメモを読んだり、ターミナル内の情報をしっかりと読まないと完全に理解することは出来ません。
なのでベゼスダ側としてもどうしてもストーリーを隅々まで理解して欲しいというわけではなく、そこまで興味がない人は基本的なあらすじだけ知っておいて欲しいという感じなのではないかと思います。
そんな中でも自分がどの勢力に加わってどのような決断をするかによって物語の展開が変わるなどの選択や、ロールプレイングの楽しさが魅力の1つとなっていたと思います。
ですがFallout76ではメインストーリーは薄めになっていて、Vault76の監督官の残したホロテープを追いながら特定の場所に向かっていくというのがほとんどなので、典型的なお使いクエストと呼ばれるものになっています。
さらにどの勢力に属するかなどの選択も今作では存在しないので、ただ単にストーリーを追っていくという点も物足りなさも感じてしまいます。
サブクエストは多めに用意されているようなのでメインストーリーが全てというわけではありませんが、この勢力に入ってこんなロールプレイをしてストーリーを進めて行こうと考えるのが好きな方はFallout76のメインストーリーを楽しみに購入するのは控えたほうが良いでしょう。
オンラインについて
Fallout76での最も大きな変更点といてばオンラインゲームになったという点です。
オンラインになったことで最大4人と一緒にアパラチアの荒廃した世界を冒険することが出来、これはFalloutプレイヤーの多くが望んだことだと思います。
この点は期待通りで、荒廃した世界を気の知れたフレンドと一緒にプレイするのは楽しく、なんでもない場所でも「あっちになにかある」や「ここにジャンク品が落ちてる」などと話しているだけでも楽しいですし、さらに一緒に大型のモンスターを倒すなどの達成感は今までの作品になかった体験となっていて今までになかったFalloutの新しい楽しみとなっています。
ただしそれらが非常に楽しいだけに残念な所も多々見受ける事ができます。
例えばオンラインになったことで仕方のない所でもありますが、敵との同期がしっかり行われてい無い事があり、目の前にいる敵に照準を完璧に合わせて撃っても当たらなかったり、フレンドとのクエストの同期がうまく出来ていない、クエストが開始しない、カクつくなど様々でした。
さらに多くのクエストを受けていると右上に次に何をするのかが表示されますが、この表示数が多い時に作業台を使うと文字化けが起こりながらまともに動かすことが出来ないほど重くなるなどプレイに支障をきたす程のものもあります。
同期関係は一度ゲームを終了すれば直ることが多ですし、作業台の重さも表示数を減らせば回避することが出来ますが、ゲームがエラー落ちするなども珍しくないので快適なプレイとは言えません。
Falloutやスカイリムなどのベゼスダ作品は以前からバグが多く、進行不可になるバグもありましたが、以前までは大規模なオープンワールドなのでバグはある程度仕方ないという見方もできました。
ですが最近ではオープンワールドも珍しくなくなり、巨大な世界でもゲームプレイに支障が出るほどの大きなバグなしでプレイできる作品も多くなってきているので、もうオープンワールドだからバグは仕方ないとは言ってられない時代になっています。
同時期に始まったRDR2のオンラインではより巨大なマップで同じようなプレイヤー数が1つのサーバーにいるにも関わらずカクツキやバグなどもほとんど見ることが出来ません。
ベータ版と製品版ではクエストなどの密度が違うとは言え、このような違いを同時期に見せつけられるとFallout76のオンラインは安定感がなくどちらがベータ版なのかわからない程見劣りすると言わざるを得ません。
PvPについて
PvPについては記事でも紹介しましたが、行うメリットはほとんどなく一応システムとして搭載しているというおまけ程度です。
実際にプレイしていても他のプレイヤーから攻撃されることはほとんどなく、オンラインゲーム特有の殺伐とした空気は今の所感じることはないので、PvPが苦手という方でも安心して楽しむことが出来ると思います。
戦闘について
戦闘については基本的には同じなのですが、戦闘の目玉でもあるVATSシステムの仕様がオンラインになったことにより変更されています。
前作まではVATSを発動させると周りの時間がスローモーションになり敵の狙いたい所をゆっくり選んで撃つことが出来ましたが、オンラインで敵をゆっくりにさせることは出来ないのでスローモーションにはならないようになっています。
代わりにVATSを発動するとエイムをせずに撃つだけで命中率に応じて敵に攻撃を当てることが出来るオートエイムへと変化しています。
グールなどは直ぐに間合いを詰めてくるので、今まで以上に早いタイミングでVATSを発動させる必要があります。
VATSが戦闘で重要なのは変わりないですが、今までのような万能さはなくなってしまっているので、必然的に戦闘の難易度は今までよりも若干高くなってしまっているかも知れません。
重量について
前作までもプレイヤーが所持できる限界の所持重量の設定がありましたが、今作には収納箱にも重量制限がかかっています。
前作まであれば持てないアイテムは拠点の箱の中などに入れておけばいくらでも持っておくことが可能でしたが、オンラインゲームになったことにより持ち物が増えるとそれだけプレイヤー1人のセーブデータが大きくなりサーバーに負荷がかかることにあります。
Fallout4でもアイテムを入手したりストーリーを進めていくに連れてセーブデータの容量が大きくなり、最終的にはゲーム自体が重くなってまともにプレイできなくなるという事態にもなったことがありました。
それをオンラインでやってしまうとサーバーが落ちてしまうので、それを防ぐために持てる量に制限をかけているのだと思いますが、それが非常に不便です。
Falloutはジャンク品を拾ってそれを解体してクラフトや武器の制作、修理に使うのでジャンク品がシステムの鍵になっている部分があります。
そのジャンク品などを収納箱に入れておくとすぐに収納箱もいっぱいになってしまい、収納箱に入れられない上にプレイヤーの所持重量もいっぱいという状況に頻繁になってしまいます。
ある程度の対処方法はこちらの記事で紹介していますが、それでも持てる量が少なすぎて自由にジャンク品の収集すらもできなくなってしまいます。
2018年12月現在では収納箱の容量が400で、アップデートにより600に増やした後様子を見ながら増やせるなら増やしていきたいという内容の情報は出ているのである程度改善はされていくとは思いますが、今でも安定しているとは言えない状態で大幅な増加は難しいかも知れません。
成長システムについて
Fallout76でも成長システムは前作から引き継がれているものが多く、レベルアップする毎に1ポイント獲得でき、S.P.E.C.I.A.L.というステータスか、欲しいスキルのどれかに割り振っていくという点はお馴染みの成長システムです。
ですが今作からは割り振ることが出来るのはS.P.E.C.I.A.L.のどれかのみになり、スキルはポイント制ではなくなりました。
スキルは自分で好きな物を選ぶのではなく、カード制になり持っているカードを装備することでそのスキルを発動させることが出来るようになっています。
そのカードの入手方法はレベル5上がる毎に獲得できるカードパックの中から入手したり、選択したステータスの中から1枚カードを選ぶという形で入手していくことになります。
カード制やカードパックという単語を聞くと好きなスキルを獲得できずにランダム要素が強くなりそうというイメージがあると思いますが、その点はあまり心配しなくても大丈夫です。
カードパックはほとんどおまけのようなもので、欲しいカードがある場合はそのカードに対応しているステータスを上昇させることで任意のカードを入手することが出来ます。
さらにポイントを割り振る前にどのステータスにポイントを降ったらどんなカードが入手可能かというのも確認できるので、ランダム要素は無いと言ってもいいでしょう。
ただしポイントを割り振らずに欲しいカードを入手したいという場合はカードパックの中から出てくるのを待つしか無いので、そこにはランダム性が発生してしまいます。
レベルは今現在50が上限ですが、その後もレベルアップは続くのでカードパックはレベル上限になっても入手し続けることが出来ます。
なので最も効率のいいパラ振りでいいスキルを装備したい場合はレベル50後のカードパックを入手し続けて行うようにしましょう。
総評
多くの方が望んだであろうオンラインになったFallout76ですが、結論から言うと恐らくほとんどの方の期待値を下回る作品になっていると思います。
どうしてもFalloutという超人気作品なので期待されてハードルは高くなってしまいがちですが、それを抜きにしてもゲームとして特に安定面に関しては完全ではないなという印象が強いです。
人気作品なだけにネガティブな情報が先行してしまい、実際それは間違ってはいませんが決して面白くない作品というわけではありません。
冒頭でも紹介したようにFalloutの世界をフレンドと探索するのは非常に楽しいので、みんなでワイワイする作品には良いと思いますが、それを上回るバグや不安定さが全てを台無しにしています。
ただ救いとも言えるのがオンラインゲームは修正を施すのがオフライン作品よりも行いやすいと思うので、これから安定性を上昇させたり追加のコンテンツをより良いものにしていけば今以上に良い評価を得ることは可能だと思います。
ただし注意しないといけないのが、Fallout76はソロでも楽しめるとベゼスダは言っていますが、正直今までの作品と同じ感覚でソロプレイをしても楽しむことは出来ないでしょう。
ソロプレイでも楽しめるようになるにはストーリーを大幅に変更しないと無理なので、アップデートの修正も期待はできません。
なのでFallout76は前作までとは違うオンラインゲームとしての実験タイトルとして捉え、一緒にプレイすることが出来る人におすすめできる作品となっています。